『Studio Voice 写真集の現在 2008』

毎度お馴染みの特集。イギリスの写真家で、スティーヴン・ギル(Stephan Gill)が最初に出てくるが、この人は知らなかつた。まあ世の中知らない人だらけなんだが。で、彼の作品の紹介とともに、書棚を拝見といふページがあつて十册が紹介されてゐる。知らなかつたもの、欲しいけれど見たことのないもの、そして持つてゐるもの。John Gossage の Secrets of Real Estate があげられてゐる。名前がカタカナでゴサージュとフランス風(?)に書かれてゐる。さうだつたのか。横浜美術館は「ゴセジ」と書いてゐたが。野球選手にゴセージといふのもゐたし。それはともかく、この本もいいけれど、他にも Gossage の本は面白いものが多い、とひと言欲しい。ギル氏の言葉には彼は間違いなく最高のイメージメーカーのひとりとあるが、それ以上に最高の photobook maker だと思ふ。あとは金村修の『Spider Strategy』、この本は装丁から中の造りまで、たいへんよくできてゐて迫力がある。金村の本は何册か刊行されてきたけれど、圧倒的にこれがいい。
かうした書棚拝見とか、誰某が選んだベスト10の類はよくある。需要があるのだ。実際、私もとりあへず、どれどれと見てしまふ。これがあちこちで、人を変へて(または同じ人が何度もあらはれ)繰返されていくうちに、傑作と広く呼ばれるものが決つていく。部数の少い本の場合、それだけで決るやうなもんである。