Ralph Gibson : State of the Axe (The Museum of Fine Arts/Yale University Press, 2008)

副題がGuitar Masters in Photographs and Wordsとあつて、ギタリストたちの肖像写真とその言葉を集めた本。写真はハイコントラストのモノクロームで、ギブソンらしい写真ではあるが、名のある人たちを写してゐるのだから、変なことはしてゐない。
ギタリストといつても、フュージョンを中心として、その周辺のジャズからロックの人たちのやうである。たとへばアンディ・サマーズ、ジョン・マクラフリンラリー・コリエルアル・ディ・メオラなど。私もレコードを持ってゐる・実物を聴いたことがある人も何人かは登場するのだが、特にギターに関心があるといふわけではないのだから、さほど面白くはない。経歴もdiscographyも全く記載されてゐないので情報源としても役に立たない。抽象的な言葉と写真とから音楽を感じさせたいらしいが、聴いたことがなければどうしやうもない。(逆に聴いたことがあるなら、それで十分なのではないかな)
ギター好きのギブソンが作つた本で、同じ趣味の人ならば楽しめるのだらう。ギターの形を見るだけで音が聞えてくるやうな人たちが相手なのだ。ギブソンには、これ以前にも Light Strings といふ、アンディ・サマーズと作つたギター愛好者向けの本がある。
肖像とともに序文を書いてゐるのが Les Paul で、それはいいのだが、次のページでは何と、カメラでなくギターを構へたギブソン自身が大きく出てくる。レス・ポールの次がギブソンと洒落にはなつてゐるが、有名ギタリストを集めた本でこれはいかがなものか。たとへいくら上手だとしても、この感覚は理解できない。ギターが大好きなことは分るのだが。
ちなみにギブソンのサイトでは、彼のギター演奏が聴ける。楽しめる演奏ではある。